資料保存チーム報告:目録作成ボランティアの声⑪
沿革のページでも紹介されておりますが、セックスミュージアム設立準備委員会ではこれまでに数回本の寄贈を受けています。
それに伴い、受贈した資料の目録作成を進めております。この目録作成に当たっては、大学生ボランティアのみなさんと進めています。そこで、目録作成に参加したボランティアの皆さんの声を紹介しています。
今回はその第十一回目。今回からHIVコミュニティセンターaktaさんをお借りして実施することになりました!(おさとう)
■aktaという空間自体に惹かれた
図書目録作りということ自体が初めてで、どんなことをやるのかあまり理解していなかったのですが、実際にやってみるとかなり地道な作業で、合間合間にお話をしながら行うのがよいと思いました。イロタカさんが様々なお話をしてくださったので、会話もしつつ、楽しく活動ができました。
また図書目録作り以外だと、aktaという空間自体に惹かれました。目録作り中も人が訪れて、お話をされていたり、本を読まれていたりと、akta自体が場所はともかく、開かれた場所だと感じました。ゼミでの紹介がなかったらおそらく行かないままの場所だったと思うので、今回参加させていただけて、よかったです。
■昔と今の性観念の違い
最初の説明聞いたときは少し難しく感じましたが、丁寧に教えてもらって割と簡単に作業が進みました。昔の性観念は現在とは違うものが多くて面白かったし、いかに人権意識が高まったも実感できました。でも現在と共通している部分もそれなりにありました。あとは高橋鐵という方の追悼特集の作業を行いましたが、かなり偉大な人だったと実感しました。

■現在の価値観と昭和の価値観のズレを、漫画からみる
今回の目録作りでは主に1970年代の男性向け漫画雑誌を扱いましたが、その漫画の種類の豊富さが印象に残りました。一口にエロ漫画といってもそのテーマは歴史物やSF、社会風刺を絡めたものなどさまざまで、作者の人たちの工夫とカルチャーの幅広さを感じました。また、古い漫画に描かれている女性の多くは、大人で色気のある雰囲気が強調されていると感じました。これは当時の読者層を想定して意図的に描いているという理由もあるかもしれませんが、一方で、現在の漫画やアニメでのキャラクターの描き方が「かわいさ」や「幼さ」をより重視するようになっているため、それに慣れた現在の自分の価値観と昭和の価値観とのズレの表れという部分もあるだろうと思いました。
aktaの空間は、開放的な雰囲気や気軽な会話、夕方の新宿二丁目の雰囲気も相まって居心地の良い場所だと感じました。
■盗聴器のカジュアルさ、パパ活行為が1970年代から行われていたことに驚く
今回、1970年代の漫画雑誌と官能小説雑誌を目録作成しました。このような雑誌にしっかり触れ、読む機会はあまりないので興味深かったです。
目録作成の中で、ポルノやダッチワイフの販売が載っているのと同じ欄に盗聴器が販売されていたのが特に印象的でした。盗聴器と聞いて思い浮かぶのはエロというより犯罪的なイメージだったので、カジュアルにエログッズの一つのように売られていることに驚くと同時に、非常に現在の価値観との乖離を感じました。また、雑誌には現在との共通点を感じる部分もありました。現在のパパ活と似たような活動が雑誌に紹介されていたことです。内容としては女子大生が中年男性と1年間契約をする代わりに、海外旅行代を負担してもらうというものでした。援助交際のような活動は1990年代以降に主に行われていた認識だったので、この頃からこのような行為が行われ、今もなお形は多少変わっても続いていることは問題だと感じました。
今回のこの目録作成で雑誌や書籍を通して昔の文化や価値観に触れることができたことは非常に貴重な経験でした。都合が合えば、またぜひ参加させていただきたいです。
